夕焼けの写真を取るのが好きだ。
昨年ヒットした某映画の盛り上がるあのシーンではないけれども。
今日と明日が混ざり合う時間が好きだ。
此岸と彼岸が混ざり合う時間が好きだ。
夕焼けの明々と燃え上がる風景が好きだ。
変わって宵闇に侵食され始めた空の色が好きだ。
赤と青。
白と黒。
何方にも演出できるあの空間が好きなのだ。
幾度となく夕焼けにカメラを向けてはシャッターを切るが、満足できる写真になることは少ない。
きっと、求め過ぎなのだろう。
僕は僕が感動を反芻する為に写真を撮っている。
誰かに自分の世界観を共有して欲しいわけではない。
だから、僕は僕が心の底から惹かれる写真を残したいのだ。
誰かが撮った写真に惹かれることはとても少ない。
綺麗だな、とか上手いなと思うことはあるけれども、感動したって写真は少ないんだ。
だって、自分が撮った写真じゃないんだから。
その空間を体験して初めて感動の種は蒔かれる。その種は心の中で育ち、写真という事物を通して邂逅することで美しさを増し、感動を反芻するのだ。
だから、自分が経験したことのない事象に感動を覚えにくい。
もっと視野を広げたいけれども、この不器用な生き方が自分の人生なんだ。