ledcannon’s diary

美作古書店

2020-01-01から1年間の記事一覧

櫻ノ海 五章

櫻ノ海 ―伍章― 煉獄-レンゴク- 第伍話 終極へと。-士送りの儀-。 【櫻ノ海】に着く頃にはお天道様は一番気分の良さそうな位置に座していて、俺達は春だと言うのにびっしょりと汗をかいているのだった。 視界が開け吐き気がするほどに美しい桜の樹海が現…

櫻ノ海 四章

櫻ノ海 ―四章― 惨劇-さんげき- 第四話 始り-終焉の宴-。 夕闇が迫る。時計は16時を指した。まともそうな建物を探して歩く。どれもこれも粗末な造りで星霜から来る劣化には敵わないようだ。俺と呉葉は身を休ませることの出来る場所を探して歩いた。 大概…

櫻ノ海 三章

櫻ノ海 ―参章― 胎動-たいどう- 第参話 追跡-櫻の海へ-。 濃霧。 辺りは一面、白いヴェールに包まれている。 運良く、昨日の酒は残らず、スッキリとした目覚めだ。 ただ、目覚めたばかりで頭の置くが目の前と同じで霞んでいる。 となりのシュラフを見ると…

櫻ノ海 二章

櫻ノ海 -弐章- 開示-かいじ- 第弐話 能-紅葉狩り-。 皆川からメールが着ていることに気が付いたのは朝食を終え、Webサーフィンでもしようかと思いディスプレイを除いた時だった。 メールには短く、『【戸隠村】・【鬼無里村】について調べておいて欲し…

櫻ノ海 一章

櫻ノ海 -壱章- 覚醒-ネムルモノ- 三枝 俊也篇 第壱話 皆川と愉快な仲間たち。 ≪不幸なんてものは自分から抱きかかえるよりも先に、向こうから歩いてくるものだ≫ 僕が何をしたと言うのだ、まったく。 シャワーを浴び、部屋に戻ると妹の真夜が仁王立ちで僕…

櫻ノ海 序章

櫻ノ海 -序章- 童歌-ワラベウタ- 2006年。平成18年。昭和の時代も遠く成りつつあった、あの時代に確かに僕達は生きていた。 三枝 俊也篇 冬もどこかにその姿も潜め、久々に春らしく晴れ渡った空。心地好い日差しが降り注ぐ四月の午前中。 俗世の喧騒を忘…

自己保存本能

何かを成して死ぬという事。 其れが出来る人間は、此の世界に何れだけの数が居るのだろうか。40歳となり、41歳になる此の狭間の一年間、死生観について色々と考えた。長くても、今まで歩んできた人生と同等の時間を過ごした後に自分は此の世界から去ることと…

自分語り

自分が自分の中から溶け出していって、其れに気付いて慌てて掻き集めようとするも、覆水盆に返らず、空っぽの壊れかけた器だけが手元に残った。 此処に至るまでに様々な事が在った筈なのに、今、自分を取り巻くのは此処数ヶ月の事象で、嘗ての自分が経験して…

平々凡々な日々 〜リハビリ〜

ある日の自分と、あの日の自分と。 其れを隔てるのは一体なんだろうか。 色々と考える日々を過ごしていたけれども、こうしてアウトプットする時間を作ってこなかった。表現の幅が狭くなったと感じるし、じっくりと言葉について考える事もなくなってしまって…